イチキシマヒメ(市杵島姫命 市寸島比売命)

 

記紀では、アマテルカミとソサノヲの誓約(うけひ)の際に生まれた八御子のなかの三女神の1柱がイチキシマヒメで、その別名が狭依毘売命(さよりびめのみこと)というとされています。
が、ホツマツタヱでは異なる説が述べられています。

 

ソサノヲが、まだ宮も持たない暴れん坊皇子であったころ、始めて見染めた女性はハヤスウヒメと言い、筑紫のアカツチの娘でした。しかし、普段の素行の悪さからその求婚は叶いませんでした。鬱々とするソサノヲを慰めたのが、アマテルカミの長男を生んだモチコと、三人のヒメ御子を生んだハヤコでした。その密通が内宮のセオリツヒメの知るところとなり、モチコ・ハヤコには筑紫に蟄居命令が出され、三女と共に筑紫の宗像に行きました。

  宗像神社(東海市) お社が三社造りです。ご祭神は宗像三女神と思われます。

 

ソサノヲはこの後も多くの咎なしてシタタミに落とされるのですが、その折に母とも慕う姉のワカヒメのところに顔を出そうとします。しかし、ワカヒメは散々な荒事をなす弟を許すことはできません。完全武装し、魔よけの玉をかけて「その本心を述べよ」とソサノヲに立ち向かいます。

その姉を見てのたまうソサノヲ。

「私を恐れないでください。昔、アマテルカミはマナヰで霊(たま)を清めてモチコさんにアメノホヒを生ませました。ところが床酒をたしなんでハヤコさんを召すとその夢に、トツカの剣が現れて三つに割れ、三つの田となった。それで三人のヒメが生まれたので「た」のつくイミナを付けられました。(タキコ・タケコ・タナコ)姉に会いたい一心の今の私に邪心があるのならばヒメを得て、恥じいるでしょう。」とい誓ってシタタミとして去ったのです。

これが誓約(うけひ)の場面です。

  八百富神社(蒲郡市)

 

トツカノ剣が三分割されて生まれた三人の姫は、自ら母の咎を落とすためにさすらい成長して沖ノ島姫、相模江の島姫、厳島姫といわれるようになりました。

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   真清田神社境内

 

イフキトヌシとの間にイヨツヒコ・トサツヒコ・ウサツヒコをもうけ、イチキシマヒメも宇佐に住み、そこで神あがりました。いつくしま宮は慈しむ神。愛う神。母ハヤコの恥を雪がんと自ら律する清々しい姫です。

 

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  伊富岐神社境内
橋が渡してあって池に浮かぶ境内社はたいてい厳島社だと思われます。