モンスターホームドラマ『娘をやめていいですか?』家族からの支配

母娘の共依存を描いているドラマですが「モンスター」の文字がみえます。

この母親の異常な件。

・職場の同僚とのデートの様子を陰から伺っている
・娘の日記を勝手にみる
・自分の好みの男とデートさせた上、娘が取られそうとみると男に告げ口をする
・「ママを一人にしないで。彼とママとどっちが大事?」
・娘の恋人に近づき泣き落として関係を壊そうとする
・娘ロスのあまりボヤ騒ぎの狂言で娘を引っ張り出す。
・恋人のところへ逃げ込んだ娘の居場所を探し当て上がりこむ、カギを盗んで合鍵作る、合鍵で家に入り掃除洗濯アイロンかけ、夕飯作りとかし「こういうこと(新婚生活)がやりたかったのかも」
・白雪姫の魔女にならないようにと学校時代の友人に言われる
・娘の学校に行き、娘が危機に陥ると助けに入り問題になる

高校英語教師をしている娘の異常な件。

・反抗的な生徒が保健室に行くことに困り母親に相談メール
・「友達といるよりママといる方が楽しい」

こうしてみると母親がモンスターなんですね。
娘を支配し思い通りの人形に仕立てるのです。

探偵でもあるまいに、娘のデートを監視に行くか?
娘の恋人は自分の好みらしいが、断れない立場に付け込んでしなだれかかるとかゾッとする。
「どっちが大事?」なんていう質問自体どんな場合でもNG。
勝手に合鍵作って入るなんて犯罪でしょ。その時点で理性が壊れてる。

ほんと、サスペンス。

母親は専業主婦で、旦那さんとは絆をつくれておらず暇を持て余しているように描かれています。
セロトニンやオキシトシン、ドーパミンなど幸せや喜びを感じる体内物質が足りていないように思えます。そう考えれば病気ともいえますが。

「やさしくて、いつも私を一番に考えてくれて」と娘が思う母は、娘が支配下から離れると牙をむいたのです。モンスターマザーです。モンスター化する伏線があって、自分と母親との関係から自己肯定する感情をつくれなかったこと。

「自分はダメダメで母から嫌われているのだから、恋愛だって思い通りになるわけがない。だから、冴えないオトコと結婚することになったのだ。でも生まれた子を通してもう一度やり直せる気がしている。生まれた娘にダメダメだと痛めつけられた子どもの自分を重ねた。娘が幸せなら私も幸せになれる。」

そこに娘の人生はありません。娘の人生なんて完全無視なんです。「自分さえ癒されればそれでいい。お人形にすぎない自分の娘が自分に歯向かうとかありえない。」なんて、やっていることは子どもの完全私有化です。

モンスターマザーと言えば、ホツマツタヱにこんな母親の話があります。
ヤマタノオロチに変化した「ハヤサスラヒメ」です。

出雲の国のお話。
八岐大蛇が出雲に出没し土地の娘ら7人を次々と殺していきますが、最後に残ったイナダヒメを救うべくソサノヲがオロチに酒を飲ませて退治します。
八岐大蛇が出雲にやってきたのは、愛するスサノヲの結婚相手の候補者をすべて亡き者にするためでした。ヤハサスラヒメすなわちハヤコはもともとはアマテルカミの后の一人でした。けれども、寵愛を一身に受けるセオリツヒメをしり目にハヤコの元には寄り付かず、代わりに不満をもって暴れることの多かったソサノヲがハヤコの元へ通うようになったのです。ハヤコは権力志向が強く兄の首をとって「天下をとれ」とソサノヲをそそのかしたりもするのでした。そのうちに朝廷で暴れたソサノヲは、セオリツヒメの妹ワカヒメハナコを事故で死に至らしめます。
そのためにソサノヲはタカマを追放され、ハヤコは娘三人と、共謀した姉モチコは九州へと島流しになります。
けれどもその処遇を良しとしないハヤコは三人娘を放置して遁走してしまうのです。

遁走したハヤコは八岐大蛇というモンスターに変化しました。
愛する男に切り刻まれた尾から出てきたものは「ムラクモの剱」。
この剱はアマテルカミに献上され、宝物として大切にされました。

さて母親のネグレクトにあった三人娘は、九州は宗像のアヤコヒメに育てられます。
宗像三女神といわれるタゴリヒメ・タギツヒメ・イチシキマヒメのことです。
三女神は殊勝にも自ら全国をサスライ、母の罪を祓おうと努めました。

その甲斐があったのでしょうか、猛母ハヤコは三代後、再び貴族の家に生まれることができました。名はイワナガヒメ。アマテルカミの孫ニニキネの妻となるコノハナサクヤヒメの姉です。

前世の悪業が祟ったのか、ひどく不美人に生まれつきニニキネのお眼鏡には叶いませんでしたが、人として生まれることができたのは幸いです。

三女神にとっては、憎むべき母でした。捨てられたのですからね。
でも、恨み言を言う代わりになすべきことを行動に移しました。

母が犯した罪は罪として人類の記憶にインプットされます。人類の記憶を書き換えるには、誰かが罪穢れを祓い落さなくては前に進まないのです。

三女神は母の罪を実子として払い落とすことでその罪を人類の記憶から削除したのです。

母の罪を子が贖う、という図です。
そんな!娘に生まれたばっかりに損だ!ってこともないんですよ。
イチキシマヒメは世界文化遺産の厳島神社のご祭神です。

いまでもその美しさ、荘厳さが世界中から愛される存在としては日本屈指かもしれません。

厳島神社の神様のように

イチキシマヒメは、自分でそう決めて育児放棄した母親の罪を払い落とそうとしました。
そこに「支配」「非支配」関係はありません。

支配的な母親に対して、やっぱり勇気を出して思いを伝えなければならないんだと思います。
ドラマの主人公のように。

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