サザエさんちみたいにいつも家族の誰かと顔合わせるのって、息苦しい

だからサザエさんちは嫌われる。

結びつきが息苦しい。

いつも家に誰かがいるなんて耐えられない。

あなたは、どう思う?

個室がない小学生は普通か?

カツオは小学5年生。
2014年の調べによると小学5年生で個室を持っている人は43.5%です。(ガベージニュース調べ)ワカメは小学3年生で、個室を持っている人は32.3%。個室をもっていないとしても、今の日本であっても平均的ということかぁ。

サザエさんちには子どもの個室だけじゃなく誰一人個室を持っていませんからね。床の間のある8畳間に波平とフネ、東南の6畳間にマスオ、サザエ、タラちゃん、東北の4畳半にカツオとワカメ、合計7人がぎっしり暮らしています。客間を入れて5DKです。「壁」をつくらない昔ながらの造り。

狭いと言えば狭いし、それでも客間があるのはゆとりと言えばゆとりの空間なんですよ。
一人になりたければ、お仕置き小屋でもある物置もあるしね。

カツオたちのいる子ども部屋は”つくってはならない”間取り

いその家、金曜日の午後。テストの点数が悪かったカツオは憂鬱です。
家に帰れば、台所から母のフネか、姉のサザエが「おかえり」といって玄関まで来ます。隠しているつもりでもなぜだかテストのことがバレてしまうんです。

だから公園でひと遊びしていきたいところですが、今日に限って誰も遊んでいません。一人で遊ぶのは苦手なカツオです。仕方ない。玄関からそーっと入って気が付かれないように部屋で静かにしていよう・・・。

カツオの部屋は玄関からすぐのところにあります。誰にも顔を合わせないで部屋にたどり着くことがカンタンにできてしまう間取りになっています。波平もサザエもいない家で、こういう作り方をすればすぐに悪友のたまり場です。

サザエ夫婦のスイートルームも廊下で隔てられて独立しています。カツオの部屋とここはちょっと不思議な間取りではあります。増築した可能性もあると思うんですけどね。

秘密基地を持ちたい子どもにとって、波平のいる部屋からも主婦がいる台所からも隔離されたこの部屋は夢のような位置にあります。

サザエやフネ、浪平といった小うるさい人物がいない家庭ではまさに作ってはならない、誰にも顔を合わさず玄関から直行できる部屋、なんです。

そもそもサザエさんって結婚しても家を出ていかないのはなぜ?

孤立しがちな間取りなんだけれども、カツオはいつでも隠したつもりのテストが見つかるし、玄関から通りかかりの家族がふすまを開けたりして何かとにぎにぎしいのです。家族の在り方が子どもの孤立化を防いでいるんですね。

カツオが孤立するとは考えにくいんですが、調子がいい次男坊は拗ねているところもあります。何しろ、頑固おやじの風当たりをまともに受けるのはカツオですから。

サザエさんちで個室を最初に欲しがるのはカツオでしょうが、サザエたちが独立して家を持てばその夢は簡単にかないます。

私自身が長男の家で育ったせいもあるのでしょうが、「サザエさんってなんで結婚しても家にいるのかな。カツオという長男がいるのに。」という疑問は頭のどこかにありました。

けれど、それにはちゃんとした理由があったのでした。
サザエさんの連載が始まったころは福岡で豪奢な暮らしをしていたいその家は、東京に転勤になった波平に伴って一家で移り住みました。その時代にサザエは結婚して独立し、波平の家の近隣に間借りしていたんです。

しかし、大家さんが突然立ち退きを告げてきて窮地に立ったサザエは波平に泣きついたのでした。それで今の7人家族が誕生したのです。

まだ給料も低いマスオ一家は、波平一家と二世帯同居を始めることで生活費・家賃を大幅に節約することができたのですね。

スープの冷めない距離から同居へ

会社勤めの波平とマスオは帰りの電車で一緒になることがちょくちょくあります。二人とも大抵はご機嫌に一杯飲んで帰ることも多い関係です。

これも波平が苦手だとなかなかキツイお供になるかもしれず。
サザエ曰く、マスオさんは頭がいいのと優しいのが玉に瑕だそうで、人当たりがよいのでしょう。波平もマスオさんを立てているのが伺えます。サザエがあまりにも羽目を外しすぎたときは波平がマスオさんを立ててサザエをたしなめるのです。

お互いに角が立ちすぎず、すこし丸くなって暮らす知恵が身につくんでしょうか。

急な立ち退き話の時大家さんを殴ってしまったほどの元気なサザエさんですが、波平の雷が落ちることで落ち着くし、そしていつも優しいマスオさんがいて「キレイだよ」などと褒めてくれたりするので、まあ、誰が何と言おうともサザエさんは幸せなんだと思います。

いつも誰かと顔を合わせるのって、息苦しい

家族の誰とも会いたくないとき、一人いなりたい時サザエさんの家には敷地の隅にある「物置」がいい仕事しているみたいです。

廊下を隔てて家族とつながる程よい距離感をつくっているのがわかります。廊下の作り方も息苦しさを解放する一つのカギになりますね。

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